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「ラヴクラフト全集3」 H・P・ラヴクラフト 東京創元社
「おお、ここから先は恐ろしすぎて言葉では言いあらわすことなどとてもできない」的な文章が炸裂する偉大な恐怖作家ラヴクラフトの全集第3巻。
自分の足りない頭では、結局何だったのかはっきり読み取れなかったけれど、存分な不気味感を味わうことのできた短めの「家のなかの絵」他7編を収録。
でもやはり、圧倒的な「異世界」感が読んだ後も残りまくるのは、最後の「時間からの影」でしょう。気の遠くなるような時間の感覚を覚えるストーリー、人間とはまるで似つかない驚異の姿をした種族の描写、そして驚きの結末。いやあ、映画など視覚的なのも良いけれど文章を読んでコワい気分になるっていうのはやはりよいな、と。ついでに言うと、できればページを自分自身の手で「めくって」刻一刻と衝撃のラストに近づいてゆく行為が良いのだと思う。
(2012.7.30)
「ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~」 三上 延 アスキーメディアワークス
就職先の決まらない二十三才の「俺」、五浦大輔。祖母の残した本を整理していた彼の母親が、一冊の本に謎の書き込みを見つけた。大輔は謎を解くため、その本の購入先と思われる古書店を訪れる・・・。
それぞれ一作品ずつの本にまつわる四つの軽いミステリが収められた短編集。
というと、だいぶ前に読んだ「配達あかずきん」が思い出される。あちらは古書店ではなく、新刊書店を舞台にしたものだったけれど、やはり本をテーマにした謎解きだったはず。しかも、謎解きは主人公よりも頭脳派の相棒にお任せっぽいところも同じ。というところがひっかかった。でもそれを言ったらワトソンとホームズがまさにそのパターンだったっけ。
(2012.7.30)
「狼の血」 鳴海 章 光文社
山本甲介、28才。都心に本社のある洋和化学工業に勤めるサラリーマン。しかし毎日の仕事は、誰にでもできる備品の調達や、使われる見込みの無い資料作り。
普段の生活に喜びも楽しみも、将来にも夢は無く、ただ日々が過ぎてきたが、ある晩帰宅した甲介を待っていたのは、中学時代の同級生、保坂だった。その晩、酒を酌み交わし、浩介は彼を泊めてやるが、翌朝保坂は姿を消していた。現金と、拳銃の入ったバッグを残して・・・。
最初に出たノベル版の推薦文には本書のことを、サラリーマンには薦められない「危険」な本、とあったという。
かなりぶ厚くて、これはちょっと読めるのだろうか、と思ってしまったが、読み始めたらそんな心配は忘れてしまった。
とにかく、主人公である山本甲介の日常の生活描写が丁寧だ。朝の髭そり、歯磨き、立ち食い蕎麦屋での朝食の場面など、これでもかというくらい細かい。通勤電車では、どこどこの位置だと、寄りかかれるから混んでも少しは楽だとか。
そして単調な業務!これが一番辛いかな。そういう場面が延々と続くのだけれど、同級生、保坂が現れたことで、あれよあれよと物語は進み始める。単調な日々をじっくり読んできたからこそ、余計にそう思うのか。
拳銃を手にしてからの甲介、最初はまともに反応するのだけど、あることをきっかけに変貌してゆく。が、決して強引な印象は無い。それは、こういう、彼のようなサラリーマンはいくらでも存在するのではないか、と思ったことと、何より、この自分自身も、意味もやりがいも全く感じられない仕事をやらされたことがあるからだ。もしもあの頃、ある晩、拳銃が手に入っていたら、と考えると・・・。
(2012.3.16)
「本屋は死なない」 石橋 穀史 新潮社
書店を、単なる小売店とはせずに、本屋だからこそできること、やるべきことを模索する書店員たちを追ったルポ。
これを読んで、いかに自分が薄っぺらい愚痴ばかり言っているだけか、ということを思い知らされた。この著者さんは、よほど個性ある品ぞろえの個人店が好きなのだな、ということを感じたが、やはり数が売れないと厳しいのも事実。
一般の人で、書店自体が好きな人って一体どれくらいいるのだろう。欲しい本、目的の本があって来店するのではなく、本屋があるから入ってみよう、中を見てみよう・・・というお客さんがいる限り、あの手この手を模索して店づくりをしてみるのは無駄ではない,と思った。
(2012.2.19)
「トム。ソーヤーの冒険」 マーク・トウェン 新潮社
勉強、手伝い大嫌い。遊びいたずら大好き少年のトムが巻き起こす騒動の数々。
去年の夏、高校の頃に見たアニメ版が再放送されていて、今見ても全く色あせてないなあ、と感心したので、じゃあ原作を読んでみるか、と思い、購入してみた。
いやあ、出だしのポリー叔母さんのセリフ、あのアニメ版の声が聞こえそうなくらいだ。ということはアニメ化した人たちがいかにこの原作の雰囲気を掴み取ったということか。
先にアニメを見てストーリーは知っているのだけど、皮肉たっぷりの文章が楽しいので、全く飽きない。
アニメ版でも、子供向けの番組に出てくるキャラクターとは思えないほど異様な存在感を放っていたインジャン・ジョーとの洞窟での恐怖の出来事も、トムはよくぞ頑張って、ガールフレンドのベッキー・サッチャーを守ったなあ、と改めて拍手。
(2012.2.19)
「ピース」 樋口有介 中公
連続殺人事件が発生。いずれも死体はバラバラにされ、現場に散乱し、被害者に全くつながりが見いだせず、犯人の見当もつかない・・・。
本格ミステリーを読んだ!という気分にさせてくれた。読んでる途中から。ラスト近く、恐るべき真相がわかってからは、読んでいない時間でもなんとなくそのことについて考えてしまうことが幾度となくあったくらいの衝撃を受けた。
というか今でもときどき考えちゃう。ずっしりした何かを残されたような感覚。
これはぜひ、いろんな人に読んでもらいたいとは思うけれども、真相に触れるようなことを読む前に決して言ってはならないので、もどかしいったらありゃしない。
ところで、この本を紹介しているある媒体、思いっきりネタバレしていたのには呆れた。
(2012.2.19)
「萩を揺らす雨」 吉永南央 文春
和食器とコーヒー豆を扱う店、小蔵屋のオーナー、杉浦草。70代半ばという年齢もなんのその、身のまわりに起きる小事件を解決してゆく。
主人公が年配女性、というのが新鮮。と思ったけれど、以前にも「天の光はすべて星」という、フレドリック・ブラウンの、引退した元宇宙飛行士が奮闘する話があったっけ。
で、このお話のお草さんは、過去に起きたある辛い体験をひきずりながらも、たくましく前進し続けているような女性なので、読んでいて応援したくなる。
自分がもっと年をとっても、こういう人のようでありたいなあ、と思うようなキャラクター。
この本には、小蔵屋誕生の頃のことがわかる話も含めて5つの話が収録されていて、すでに2冊目が出ているそうなので、またいずれ続きも読んでみたい。
(2012.2.20)