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「人民は弱し 官吏は強し」星新一

明治末、アメリカで青年時代を過ごした星一は健全な理想を追い求め、世のため人のため、日本のために製薬会社を立ち上げるが、役人どもや同業他社の嫌がらせにあい、騙され、不当な裁判にかけられ、せっかく思いついた冷凍工業という新分野開拓の夢も閉ざされてしまう。

優秀で独創的な一民間会社をこうまでして邪魔するか、いや邪魔なんてものではなくてこれは嫌がらせだ。
いつだったかエッセイで星新一さんが「父の残した会社の整理に手間取って大変だった」といったことを書いていたが、やっとそれがどういう会社だったかがわかった。
なんでそうまでして他者に害を与えるでもない会社を潰そうと意地になるのか理解に苦しむ。どうかしている。それでも決して諦めること無く解決策を探し続ける星一の姿。行き詰まりなどは無い、壁があれば乗り越えるだけだというがんばり。
中には味方してくれる著名な弁護士なども出てくるが、やはりお役人様様様様にはかなわないのが残念無念。
学校の先生が、逆らうことなどできるはずのないできのよい生徒をよってたかって「いじめる」ようなものだ。

二つだけ気になるのは、もし役人の邪魔が無ければ星が起こしていたであろう、冷凍食品という分野はもっともっと早く活気づいたのでは、ということと、星から多額の寄付を受け取り星に対して「地球の反対側の友人」と心をこめて賛辞を送ったドイツの日本学院(日本とドイツにおける精神生活ならびに公共制度に関し相互の知識を促進するための学院)のフリッツ・ハーバー博士たちは、星の会社の行く末を知ったとき、どのような気持ちになったであろうか、ということ。

ところどころ、思わず吹き出してしまうような星の奇抜な考えなどがあるのだけれど、ページが進むにつれ、どうしてもそういった部分も少なくなってしまう。つらい話だ。 (041217)




「かくも短き眠り」船戸与一

ドイツの法律事務所で調査員をしている日本人の「わたし」が、ある遺産相続人を探す途中で遭遇したのは、かつて「わたし」が参加した各国でのクーデターなどの指揮を執り、暗殺や破壊活動などあらゆる技能を「わたし」に教え、「わたしをつくりあげた」と言ってもよいほどの人物、「少佐」ことコーネル・ビッグフォードだった。
そして彼は「ドラキュラの息子たち」と呼ばれる謎の集団と接触しているらしい。ベルリンの壁崩壊後、チャウシェスク政権の倒されたルーマニアで彼らは何をしようとしているのか・・。

船戸さんの本をいくつか読んだけれど、今度は主人公「わたし」と行動を共にするミクローシュという若者がいて、ちょっと頼もしかった。相変わらず、異国の地で日本人が危険な目にあう(飛び込む?)のだけど、「自分をつくりあげた」と言うほどの「少佐」がちょっと物足りなかったような・・。贅沢かな。でもどうしても「箱舟」の「グリズリー」こと隠岐浩三と比べてしまう。
実際、世界各国での影の「ミッション」に携わっていた人たちで、冷戦後、この作中にも出てくるようなもぬけの殻になっちゃってる人もいるのか?
ところでタイトルの意味がわからなかった・・。読解力ないのか。いつ眠ったっけ? (041214)



「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック

わからなかった・・・。(041118)



「いそがなくたって、そこに本屋があるじゃないか」高津淳

ベテラン書店店長さんの、あの手この手で本を買ってもらおう(「売りつける」ではない)という意気込みがこれでもかと伝わってくる本だ。
でも、書店や出版社営業の人以外が読んでおもしろい、と思うかちょっと疑問。そういえば、以前読んだ「誰が本を殺すのか」とあわせて読むとよいかも。 (041105)


「体は全部知っている」吉本ばなな
短編集。派手な展開がなくたってじっくり読ませるのはすごい。が、「サウンド・オブ・サイレンス」というラストから二番目の話、コレだけは驚かされた。それだけじゃなくて後に残りまくりだ!あのオチだもん。複雑な気持ちになっちゃった。(041105)


「囚われて桜子」新津きよみ
幼少の頃の空白の一年が一体何だったのかの説明も、おっかない終わり方もよかった。
初めて映画「サイコ」を見たときを思い出した。あそこまでキッチリ具体的に解説しないところがまたいいのかも。
うーん、でもこの作家さん、「緩やかな反転」方面というか、まっすぐなホラーよりももうちょっと違った感じのものも読んでみたいところ。 (041105)



「火星人ゴーホーム」フレドリック・ブラウン

スランプに陥った作家、ルークが友人から借りた小屋にこもって何とか新作のアイディアをしぼりだそうとふんばっていたときに、緑色の小人は現れた。「やあ、マック」というなれなれしい言葉とともに。

「発狂した宇宙」と並んで彼の代表作にしてSFの古典とされている作品。
「なんだこりゃ!?」と思うような設定だけどじゃんじゃん読みすすめられる。これこそ、「SFはちょっとねえ」という人にもすすめられる「SF」だ! (041103)



「底抜け合衆国  アメリカが最もバカだった4年間」町山智浩

アメリカ在住の著者が、ここ数年のあんまりな状態になってしまったアメリカのありさまをつづる。

なんか、ろくな国じゃない、アメリカって。行ってみたい国ではなくなってしまう。行くならカナダかな。
それにしても、もうできちゃった「愛国法」はヒドすぎ。だってインターネットで見たサイトや図書館で借りた本なんかを国が勝手に調べることができるっつうんだもん。どこが自由な国だよ!! (041031)


「人質カノン」宮部みゆき
短編集。普段の生活からほんのちょっとはみだした、飛躍しすぎず起こりえそうなストーリーたち。主人公もヒーロー、ヒロインではなくて、いくらでもいそうな敗者とまではいかない程度の人たち。
特に残ったのは「生者の特権」か。「死んでやる」と思い込んだ女性に起きた夜中の出来事。ところどころにほどよいおかしさもあるけど、「立ち向かう」ということがわかっていながらそれが「できない」もどかしさを感じさせてくれた話だ。



「彗星物語」宮本輝

家族ドラマってこういうのかあ、と妙に納得しながら読んだ。城田家の人たち、みんなが無事なまま終わって欲しかったけれど、まさかああなるとは思わなかった・・。でもきっと最後に「やれやれ、みんな落ち着いたな」と安心していたのだろうと思う。(041027)




「青が散る」宮本輝

これが青春の物語か!
友人、ライバル、恋人、先輩、後輩、大人、実に様々な人物たちが出てくる。主人公の燎平にとっても、仲間たちにとっても、読者にとっても佐野夏子は強烈な印象を残す。
「田岡さんに真っ裸にされて、何べんも・・・」はあんまりなセリフ。これが人を好きになるつらさか。
主人公たちは皆がハッピーエンドで終わるわけではない。最悪の結末を迎えるものもいる。ご都合主義なんて一切ない。だからいつまでも、彼らが存在していたのではないか、そしてその後、どうしてるのだろう、とふと思う。 (041027)




「子猫が読む乱暴者日記」中原昌也

うーん・・・。 (041027)



「牡丹」団鬼六

エッセイ集。どの体験談にも将棋が出てくる。作者は本当に将棋が好きな人なんだなあ、と思うと同時に、登場してくる人も、戦時中の日本で捕虜となったオーストラリア兵から英文講座の厳しい大学教授まで、実にさまざまで、悲しい出来事もあるけれど、いろいろな人たちと知り合うということは貴重な体験なのだと感じた。 (041021)



「波のうえの魔術師」石田衣良

パチンコばっかりの青年が謎の老人に声をかけられ、今までさっぱりだった投資の世界に導かれ、やがて思いもよらない計画に加わる。

うーん、難しかった。でも、「ウエストゲートパーク」と同じく、クールな主人公の語りは心地よい。
青年がベテランからいろいろ教わっていく、という過程はチャールズ・ブロンソン&ジャン・マイケル・アル中・ビンセントの「メカニック」などの映画をちょっと思い出したけど、小説で読んでも十分面白かった。
物語のクライマックス、「秋のディール」は老投資家にとっては最後で最大の「仕事」だったが、主人公にとってはこれから先、長く続く旅の第一歩なのだと思うとグッとくる。
この青年がいずれ年を重ねたとき、どんなふうになっているのだろうと、ふと思う。(041012)




「うつくしい子ども」石田衣良

行方不明となった9歳の女の子が死体となって発見された。殺されたのが妹の同級生だったこと以上の衝撃的な事実がわかり、「ぼく」は仲間の長沢くん、はるきの助けを借りながら事件の真相を突きとめようとするが・・。

これを読むと、頻繁に起こるようになってしまった少年事件についての新聞記事なんかとても真実を言い当てているとは信じられなくなりそう。評論家なんかよりも、間近にいる人間にしか本当のことはわからないと思う。
「ぼく」たちを襲う危機に、3人はそれぞれのやり方で勇気を出してるなあ、と思った。あ、ミッチーもだ。
はるきは、つぐみさんと同じく会ってみたい人。何言われるかわかんないけど。それにしても学級委員の長沢くんの秘密にはちょっとびっくり。ボウイかシルヴィアンくらいなら許したいところ。 (041007)




「池袋ウエストゲートパーク」石田衣良

読むまでは、不良がサラリーマンを襲ってお金とったり暴れたりするものかとばかり思い込んでいた。が、読んでみたらちょっとミステリっぽくてびっくり。
主人公マコトの語りもよい。ああいうのをクールっていうのか。なるほど。でも実際あんなカッコヨイ少年いるのか疑問。
自分で体験したことの無い、学校行かなくなっちゃったり、組に入ったりする少年などが出てきて、実際もこんな感じかな、という描写がたっぷり。でも「内戦」とか起きてる池袋はあまり行きたくないなあ。
そういえば昔、失業中、サンシャインビルの出口がわからなくて迷ったことあった。あと同じく失業中、「umeは一度、夜中の新宿でボコボコにされるくらいのめにあわなきゃだめなんだよ」とわけのわからないこと言われたのを何故か思い出した。 (041004)




「死者の書」ジョナサン・キャロル

今は亡き天才児童作家マーシャル・フランス。彼に憧れる高校教師、トーマス・アビイは仕事を辞め、フランスの伝記を書くために、同じくフランスの作品に魅せられた女性、サクソニーと共にフランスが生涯愛した街、ゲイレンへと向かう。しかし、その街は普通の町ではなかった・・。

主人公トーマスの一人称で話は進む。不気味な展開になっていくのにどこかのんびりした考えの描写が多くて、そこが気に入って読んでいったら最後の方でとんでもないことになった。やられた。 (040923)





「盗まれた街」ジャック・フィニイ

「家族が家族ではない」「親が親じゃない」などという人々がある街で増えてきた。彼らの言うには、姿かたち、声、しぐさまでも本人とソックリなのに、絶対に、全く違う人間だというのだ。

コワイよ、こういうの。映画になったのを先に見ちゃったのだけど、原作はあの「ゲイルズバーグの春を愛す」のジャック・フィニイだったのだ!
結末は、絶望的な映画版とは違って、人間のすばらしさみたいなものを訴えている。
ちなみにこの作品、白黒時代と、カラー2回と3回も映画化されてて、2回目のはモジャモジャギョロメ(ドナルド・サザーランド)、ハエ男(ジェフ・ゴールドブラム)、スポック(レナード・ニモイ)という強烈な人たちが出演してます。 (040923)




「猫と写真の時間」藤田一咲

写真家さんの猫の本。文章がほのぼのしてたのと、さすが写真家さんだけあって、大きくのばして見たい写真がいっぱいあった。
(040903)



「象と耳鳴り」祥伝社 恩田陸

元判事、関根多佳雄が身の回りに起こるミステリーを解決してゆく。

ミステリーとか推理というと、頭悪いのと途中で飽きちゃうんじゃないかと思ってちょっとかまえてしまう。でも、短編集になっていて、いろいろな事件(出来事?)があったのでよかった。この主人公なら長編もぜひ読んでみたいところ。
息子活躍の「待合室の冒険」、娘も登場の「机上の論理」がお気に入り。あ、「魔術師」も藤子不二雄「街が居た!!」ほど直接的じゃない、じわっとくる作品。




「マリ&フィフィの虐殺ソングブック」河出書房新社 中原昌也

短編集。ここいくつか、続きが気になってしかたなくてじゃんじゃん読み進んじゃう本ばかりだったけれども、これはちょっと違って、「なんだかよくわからない」のにページをめくり続けた。字が大きいのでさすがの自分もすぐに読み終えた。

西武線新宿線で「とびだせ、母子家庭」という話を読んでたら最後の数行のところで大爆笑しそうになって顔がひきつってしまい、こらえるのに非常に困った。誰かチャレンジしてください。
今思い出しても笑える。




「光の帝国 常野物語」集英社 恩田陸

通常の人間の能力を超えた力を持つ人々それぞれのお話。うまく紹介できなくてすみません。とにかく読んでみて下さい。これはおすすめ。

こういう、この世の中には実は特殊な人たちがいるんです、という感じのお話は好きで、ガチガチのSF的な説明なんかほとんど無くても無理なく引き込まれたのがよかった。連作短編集というのは初めてだったかもしれないが、ひとつ読み終わると、「さて次はどんなふうな話かな」とわくわくもできた。ちょっぴり「七瀬」を思い出した。
ただ、最初は短編集だとは思っていなかったため、冒頭の「大きな引き出し」の主人公の活躍を読んでみたいと思ったのと、一箇所だけ納得いかないところあり。(黒い塔)

あとは、もっともっとこの一族に関する話を読みたい!「大きな引き出し」の監督とその親父さんのエピソードのようなグっとくるようなやつを。




「発狂した宇宙」早川 フレドリック・ブラウン

雑誌編集者、キース・ウィントン目がけて失敗した月ロケットが落ちてきて大爆発!即死間違いなしのはずなのに、何故か傷ひとつないままだった。でも、そこは彼がさっきまでいた場所とはどこか「違う」場所だった。

星新一と並んで何回も読んだ本。この人は短いお話でニヤリとさせられるものがたくさんあるけれど、この長編、これまた傑作。いわゆる「多元宇宙もの」の古典とされてるが、出だしはキースが美人編集者のベティ・ハドリーに惚れる、というごく普通の場面から始まるのでSFに興味無い人でもすんなり入れると思う。
目次だけ見ても、「閃光」「紫色の怪物」「発見しだい射殺せよ」「夜行団」「空飛ぶミシン」・・・、と「え、次どうなんの?」と気になってしょうがない展開になっていて、ラストもスッキリサッパリ終わるのがよい。
これも映画化希望。ただしこれもベティ・ハドリーには美しい人じゃないとまるで意味なし。

大手取次N販の検索システムだと「フレドリック・ブラウン」では「該当なし」で「フレドリク・ブラウン」だと出た。わけわかんないシステムだ、たくぼう。



「猛き箱舟」船戸与一
あらゆる手段を使って、各国の紛争から海外へ進出する日本企業を助け、経済発展を影から支えてきた秘密の組織のリーダー、灰色熊(グリズリー)こと隠岐浩蔵。「一流になりたい」という信念を持つ香坂正次は彼の組織に入ることになるが・・。

主人公のグリズリーへの憧れ、一流になりたい、という思いは充分伝わる。が、仲間として迎え入れられてからの展開があまりに激しく、しかも魅力的なキャラクターがどんどん殺されてゆく。これが息をもつかせぬストーリーか。すごすぎる。



「虹の谷の五月」船戸与一
トシオの成長ぶりがラスト近くでじんわりときいてくる。最初はよき兄貴分だったラモンがイヤなことがあって酒におぼれてしまったとき、彼を思い切り痛めつけて、結果として目を覚まさせるところが圧巻。




「夏への扉」早川 ロバート・A・ハインライン

裏切られ、だまされ、ふんだりけったりの主人公が猫のピートと共に奇想天外な冒険に出る。
1957年にすでにこんなに面白い時間ものがあったんだ!「バックトゥザフューチャー」もいいけど、こっちを映像化して欲しい。リッキー役にはかわいい人を起用するという条件つきで。そうじゃないと台無し。

株がどうとかいうのはバカなのでよくわからないが、とにかく主人公の考えの描写が読んでいて楽しい。それともちろん猫のピート。でもやっぱりリッキーの告白が一番グっとくるかな。
しかし「宇宙の戦士」書いた人とは思えないほど違う話だった。読むたびに思うが。



「TUGUMI」吉本ばなな
つぐみさんに会ってみたい。



「同居人」新津きよみ
この人はホラーばっかりだったみたい。それにしても女の人の感情がタップリだ。前に読んだ「緩やかな反転」もそうだった。
で、今回は最後の最後でホラーとなって直前までは、現実的な事件として終わるのかとばっかり思い込んでいたので嬉しい驚きだった。




「とらちゃん的日常」文春文庫 中島らも

ねこの表紙につられて読み始めたら面白かったのに著者が亡くなってしまいました。




「ジーキル博士とハイド氏」新潮文庫 スチーブンソン

アタスン氏という人の視点からのお話になっていて、友人のヘンリー・ジーキルが謎の怪人エドワード・ハイドに、いい具合に利用されてるのではないか、と怪しむというとこから始まっていく。
子供の頃からタイトルだけは知っていたが初めてちゃんと読んだ。でも、もっとこう、ジーキルが何かの出来事でアタマきたら「ウガー!」って怒って変身して大暴れするのかと思ってたらちょっと違って、善悪についてのこととかが小さい字でしかも改行も絵も無いので疲れた。子供だ・・。今の版は字は大きいのかな。ちなみにこれ、値段見たら140円だ!挿絵といえば「時をかける少女」の挿絵はよかった。



「ネバーランド」恩田陸
学園ものは初めてだ。でも4人の高校生はそれぞれ個性があって飽きることは全く無かった。
それぞれが何かを背負っているのだけど、どれもがちょっとつらいことばかり。でもラストに向けてグチャグチャになっても仕方ないと思っていたところ、サッパリ終わってくれてホっとした。解説にもあったけど、4人のその後を読んでみたい。




「ネコと暮らせば 下町獣医の育猫手帳」集英社新書 野澤延行

常にネコの立場も考えてるなあ、と思わせる文章がところどころ出てくるのでこの獣医さんには親近感が持てる。
でも最後の方は病気の話ばかりになるのでちょっと不安になってしまう。
それにしても「驚いたことに、猫は自分が飼い主の世話をしていると認識しているからなのです」という一文に驚いていた主人のやつめ、今頃気づいたのか。(りゅう)


「午後の行商人」船戸与一
あんまり本読んでない頃に、しかも全く読んだこと無い作家さんで、ぶ厚いのにどんどん読み進められた。すすめてくれた 人、ありがとう。
主人公が「タランチュラ」と行動を共にするにつれて変わっていくのが面白かった。何ともいえないラストもよし。



「緩やかな反転」新津きよみ
自分と他人の心が入れ替わる、という一見「ふーん」という設定なのにこれだけ夢中に読めたのは何故か。もちろん文章がうまいのだろうけど、仕事一筋だった女性が「主婦」を演じなければならなくなったその状況だろうと思った。




「誰が本を殺すのか」(新潮社)  佐野眞一


新刊洪水と返品率の異常な高さ、というフレーズが何回と無く出てきたけど、うちの本やには広告打ってる新刊さえあまり入って来ない。大手書店が売れ筋みんなもってっちゃうというのも書いて欲しかった。ブームが去るころにどっと入ってくるということも。

取次や大手版元の文句ばかり言ってもしょうがなくて、今の本の不況を理解するためには全ての角度から検証することが必要だ、ということで出版社、取次、書店(オンライン書店含む)、図書館、ブックオフなどなどいろーんな人の言葉が載ってるので貴重な一冊。
後半には「紙」ではなく「端末」で読むこれからの本の形が紹介されてるが、やっぱり本はめくって読むものだろう、と思いたい。でも世の中はどんどん変わっていくのかな・・・。デビッド・ボウイは「変化」を美徳に70年代を駆け抜けた、とよく言われるがこれから先、「本」がキカイになっちゃうのは寂しい。ちなみにボウイさんはライブ中に観客の投げたキャンディーの棒が目に突き刺さったってね。関係ないか。あんまりココ読んでる人いないでしょう。



「火星年代記」(早川書房)  レイ・ブラッドベリ

SFという形になってるけど単なるSFじゃないです。今の(昔から?)「何でもかんでもアメリカにしちゃえ」というアメリカ人のバカバカしさとか差別問題とかがわかりやすく、面白く話にされてる。


「地獄」岩下志麻子
あの終わり方はないよ。もっとすごい「地獄」が待ち受けてるのかと思ったよ・・。

「動機」横山秀夫
簡潔な文章でも充分どきどきできました。

「エンタープライズ発進せよ」ダイアン・ケリー
スタートレック新シリーズの小説版。カーク船長の次の次の次の次に作られたこのシリーズ、なんとカーク船長時代の百年前、つまり人類がまだワープ航法を開発したばかりの冒険を描くというもの。
主人公のアーチャー船長が結構カークっぽい人になってた(頑固?)ので今後が楽しみ。といってもやっぱり読むのではなく見てみたいところ。



「わたしのグランパ」(文藝春秋)  筒井康隆

「愛のひだりがわ」同様、あっという間に読めた。若い人にも読めるようにと、字を大きくしてみたりフリガナふってあったりしてくれてたので自分も早く読めのだと思う。若くないけど。
ついつい、主人公のその後を見てみたくなるお話。30人くらいしか入らない劇場で見た映画版もよかったけど、レンタル屋で見たこと無い・・・。もう一回見たいのに。



「アンの愛情」(新潮社)  モンゴメリ

今回も相変わらず楽しかったりぐっとくる出来事などがてんこ盛りだけど前の二つとちょっと違うのは「死人が多い」ということか。人生には別れもあるんだよということを作者は言おうとしてるのかと思う。
でもそんな中お笑い担当となってるのがデイビーと今回登場のフィルか。結構笑える。
ところで、やっと、ようやくギルバートとの間に一応決着ついてホっとした。



「アンの青春」(新潮社)  モンゴメリ

「赤毛のアン」続編。前作が「人生に曲がり角はつきもの」という終わり方をしてたので、今回はぐっと成長したアンの姿が見られるのと思ったらそうでもなく、前と同じくさまざまなおかしい出来事が次から次へと起こる。 それが楽しみだったので私としては大満足。
マリラ、ダイアナ、リンド夫人にギルバートといったおなじみのキャラクターに加え、気難し屋のハリソンさんやアンの生徒で優等生のポール、モーガン夫人やマリラが引き取ることにしたデイビーとドラの兄妹などなど新顔も登場。
なかでも極めつけは石の家に住むミス・ラベンダー。ラストヘ向けて彼女の出来事を中心に話は進んでいくが、最後の最後でやはりこれはアンのお話なのだ、と改めてぐっときた。



「切り裂きジャックはあなたの友」(早川書房)
  ロバート・ブロック

「サイコ」の原作者のホラー短編集。
やっぱりラストを飾る表題作はよいなあ。ジャックの正体も、落ちも洒落てるし。でも「え?」って思っちゃうのもあった。


「愛のひだりがわ」(確か岩波)筒井康隆
最後の一行にはやられた!!!

「日本沈没」小松左京
藤岡弘、の顔が浮かんだ。

「理由」宮部みゆき
すごく売れたそうなので読んでみた。みんなああいうのが読みたいのか、と思った。その後どうなるのだろうと興味がわいたが真相わかった時点で終わってしまったような気がする。

「地下室の手記」ドストエフスキー
自分の比じゃないくらい理屈っぽい人だ。



「斜陽」太宰治

この人の理屈っぽい一人称は好きだ。 040617



「ゴッドファーザー」(早川書房)   マリオ・プーゾ

何回でもじっくりみれちゃうあの映画の原作本。この前買ったDVDについてたメイキングで監督のコッポラも言ってたけれど、確かに本筋から離れたエピソードがちょっと長い。コルレオーネ家のおかげで歌手、俳優として成功するジョニー・フォンテーンとその相棒の話はまだいいとしても、ソニーの愛人だった女の子の話はあんなにいらないと思う。
ただ、殺し屋のルカ・ブラージ、アルベルト・ネリのところは映画にも入れて欲しかった。特に、まじめな警官だったネリがファミリーに迎え入れられるきっかけと、ラストのバルツィーニ暗殺の朝、警官の服に着替えるところとか。
この本読み終わったら、映画版しか存在しないPartⅡ、Ⅲの小説版も読んでみたくなった。
ところで「復讐という料理は冷えた頃がいちばんうまい」というセリフは「カーンの逆襲」の悪役のセリフがオリジナルかと思ってたら、この中のビトー・コルレオーネのセリフだったのを今頃発見。


040610
「赤毛のアン」(新潮社) モンゴメリ

立派な文学作品のような扱いが目立っているようだけど、アンのボケとマリラのつっこみが爆笑ものだ。マシュウもけっこういい味出してるし。これだけ面白いエピソードを次から次へと繰り出してくるなんて物凄いことだ。で、ラストに近づいたところで、最初はおっかなかったマリラが、成長してしまったアンを、もう今までのアンとは違うなどと寂しがったり、マシュウもあんなことになってしまって、かなりぐっとしてしまうお話。「人生に曲がり角はつきもの」という言葉にまたぐっとくるんだ。    



040528
「三丁目が戦争です」(洋泉社)   作・筒井康隆  画・永井豪

オビに「絵本史上に残る問題作、堂々の復活!」とあるので思わず買ってしまった絵本。団地に住むシンスケくんと、住宅街のいじめっ子、月子ちゃんたちとの公園の奪い合いからエスカレートして、しまいには大人たちの戦争になってしまうというお話。ラスト一頁の著者の言葉には、「全くその通り」と頷くしかないし、ちょっと反省もしてしまう。
    




華氏451度」(早川書房)   レイ・ブラッドベリ

書物の存在が「悪」とされる未来社会、モンターグは本を発見次第燃やしつくし、隠し持っている者を捕まえる隊員であったが、いつしか本の魅力にとりつかれてしまう。
昔、トリュフォーが映像化したのを見たことあったが、映画なりにちょっと変えてあったラストは今思い出しても映画史に残る名場面だと思う。
ブラッドベリは「火星年代記」もそうだったけれど、今の世界の現状について「このままでいいのか?」と考えさせられるSFを書く人だ。
それにしても主人公の前に現れるクラリスという不思議な女の子、最初の方のみの登場とは残念。
そんなことよりももしこんな社会になったら書店員はみんな失業だ!


  
「錦繍」(新潮社)  宮本輝

作中に登場するモーツァルトの曲を知っていたらもっと味わい深く読むことができたのかもしれない。
「再会」から始まるストーリーなので、過去に「私」と「あなた」の間に何があったのだろうかと一気に引き込まれた。で、最後の方は、こういう話は二人とも墜ちてしまうのかと思いきや、将来への希望が思わせるところで終わるため、後味がよかった。「過去は今の自分をつくっている」というセリフもグー。








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