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「栄光一途」雫井脩介

柔道のコーチ望月篠子はオリンピック代表を目指す有力2選手のドーピング疑惑の調査を上層部から密かに依頼されるが・・。

スポーツ小説はちょっと、しかも柔道・・技なんか知らないし、と思ったが、実際読んでみると、本人によれば「ルックスはそれほど悪くない」篠子のどこかすっとぼけた語りと、親友深紅との絶妙なやりとりはおかしかった。下手したらこの佐々木深紅一人だけの行動を追っても楽しい話になるのでは、と思ってしまうくらいのキャラクターだ。
でもやはりこれはお笑いなんかではなくて立派な犯人探しの話で、篠子は深紅の助けを借りつつ真相を突き止めるべく奮闘し、危険な目にあう場面はハラハラものだ。
あと、ドーピングということ。禁止されている薬物、方法でなければ何をやってもOKという「スポーツ」にもちょっと考えさせられた。そのうち「ハルク」みたいな選手もでてくるのかな。 (051206)



「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク

米・ソ宇宙開発競争が繰り広げられている時代のある日、突如世界の主要都市上空に異星人の巨大宇宙船が現れる。声のみで姿を現さぬ異星人「オーバーロード」は圧倒的なパワーを最小限誇示するのみで、地球から貧困、病気、そして戦争といった、人間が抱えていたあらゆる問題を解決してしまった。そして来訪から数十年後、ユートピアとなった人間社会についに彼らが姿を現す時が来た。その驚くべき姿は、また地球来訪の本当の目的とは・・・。

今こそ映像化して欲しい作品だ。以前、テレビシリーズ化への動きがあったらしいが未完のままのはず。残念。この小説、ちょっと不思議だったのは、最初から最後まで出てくる「人間」がいないということ。といっても決してつまらないわけではなく、むしろ新鮮だったし、逆にオーバーロードの地球総督カレルレンが「あの」容姿でこのキャラクター、一番おいしい役だ。ラスト、人間、そして地球があんなことになってしまうのは驚きではあるけれど、「人間って何なんだろう」という問いにたいする説得力ある答えには十分なっていると思う。 (051117)



「あのころの未来 星新一の預言」妻相 葉月

星新一作品に描かれた「未来」と、今、現実となった「現代」を比べながら人と科学のありかたを考える。

とても興味深い本だったけれど、やはり悔しいのは星新一本人が亡くなってしまっていることだ。今のネット社会よりもさらに一歩進んだ世界をふ皮肉たっぷりに、簡潔に描いていて欲しかった。
(051024)



「ブランコのむこうで」星 新一

ごく普通の少年が全くわけもわからずにいくつもの不思議な世界を渡り歩く。

読んでる自分も「これは死後の世界」だなと思ったが、どうやら少年少女向けに書いたものらしいからそれはないか、と思っていたら途中でなるほど、と納得するうまい理由が明かされた。
星新一さんの長編といえば「夢魔の標的」というのをだいぶ昔に読んだことがあるが、あれと違って今回は少年少女向けだった。といっても子供騙しなんかでは決してない。
いつものショートショートと違って、主人公は助かるな、という安心感はあるものの、主人公が飛び込む世界がどれもこれも突拍子も無い場所なので「お次はどんなところだ?」という感じで楽しめた。
そえぞれの世界で主人公は大人の世界をのぞいているように書かれているように思え、小学生あたりには最適な本だし、もっともっと読んでみようという気になってくれると嬉しい。
後半のエピソード「ほほえみ」にはぐっときた。 (051010)



「3,1,2とノックせよ」フレドリック・ブラウン

ギャンブルで多額の借金を作ってしまい、その返済に追われる洋酒セールスマン、レイ・フレック。切羽詰った彼が思いついた突拍子も無い方法によって全ては一挙に解決するかにみえたが・・・。

金策に走るレイ、街を騒がす連続強姦魔、そして新聞売りのベニー・ノックス。この3人の奇妙なめぐりあわせったらなかった。まったく、レイの結末にはやられました。

それにしても、主人公っていうのは「正しい人」だと思っていたけどこの話のレイはそうではなかったのがちょっと新鮮。あと、物語の途中で、あまりに唐突にたぶん誰もが予想もできない想像もできない場所に話が飛ぶところには驚いた!1ページくらいだけだけど、さすがフレドリック・ブラウン先生だ!! (050915)



「深紅」野沢尚

小学6年の修学旅行中に両親、弟二人の家族全員を惨殺された少女秋葉奏子。叔母の家にひきとられ大学生に育った彼女は、ある事がきっかけで彼女と同じ年の犯人の娘の存在を知り、被害者遺族という正体を隠し、彼女に近づいていく・・。

一章の、修学旅行の夜に部屋でともだちとワイワイやってるところへ突然先生が来て、みんなで寝たふり・・というところから、何事が起こったのか主人公だけが「荷物をまとめなさい」と言われ担任とタクシーで帰される、という部分はもう「つかみはオッケー」といったところか。そして目的地に着くとあんまりな状況が待っていた、と思ったら次の2章では事件の発端から淡々と語る被疑者の上申書と判決。それで次は大学生になった今はこんな感じです、と主人公の日常が語られる。鮮やかな展開だ。

ラスト、いろいろあって一応の解決はつくけれど、「もし奏子がこうしてたらどうなったかなぁ」という別エンディングもコワいもの見たさでのぞいてみたい気もする。(050826)



「六番目の小夜子」恩田陸

高校最後の年の春、あるクラスにやってきた謎の転校生、津村沙世子。そしてこの学校に伝わる不思議な「ゲーム」。近づく受験に備えつつも、「ゲーム」と沙代子の謎に好奇心を覚える主人公たち。

やっぱりバカか。最後(最初?)がわからなかった・・。NHKでドラマ化されてたようなので見ておけばよかった。
ところで津村沙世子はぜひゴーゴー夕張こと栗山千明さんにやって頂きたい。鉄球は振り回さなくてよいですが。(050816)




「ライオンハート」恩田陸

時代も場所も越えて幾度もひかれあう二つの魂の物語。

あまりに変わった設定。だって1978年から始まって1932年、1944年、1871年・・・と実に様々な時代に舞台が移るから。あ、場所もです。かといって別にタイムトラベラーのお話、というわけでもない。
この中の「春」という話が印象に残った。各ストーリーの頭に、その内容にマッチした絵がカラーで載せられているが、この「春」は、読んでいて何度も見返してしまうくらいだった。
ぜひ贅沢な海外キャストで映画化してほしい小説だ。エリザベスはサラ・ポーリーがいいけれど、「ドーン・オブ・ザ・デッド」でゾンビと戦ってる姿が残ってしまってるので、まだ見てないけど「ビレッジ」の女の子ではどうか? (050712)



「ダイスをころがせ!」(上・下)真保裕一

会社辞めちゃって奥さんにも出ていかれちゃって飲んだくれてた主人公が、突然現れた学生時代のライバル、天知達彦から「衆院選に立候補するから選挙参謀として手伝ってくれ」と頼まれるが・・・。

「ダイスをころがせ」っていうからてっきりローリング・ストーンズかと思ったら全然違った。まあ、確かにこの話の中でのこの言葉の意味も大事だとは思う。でも実際、政治ってウサンクサイ。天知達彦のような本当にまっすぐで純粋なままの政治家っているんだろうか??「政治」というとまず連想するのは「料亭」だ。いいなあ。(050616)




「日本が犯した七つの大罪」櫻井よしこ

日朝問題や道路公団民営化問題その他を取り上げ、日本政府やお役人様たちはこんなことでいいのか、これがあるべき国家なのか、と叱る。

文章を読んでいると、へえ、そうなんだあ、確かにこれはおかしいよな、などと思う。と同時に、自然とこの人の知的で説得力のある、それでいて上品ささえ感じさせる独特の声が耳に響くようだ。いつかぜひ声優さんになって頂いて往年の名女優の吹き替えにチャレンジしてほしいところ。
あと思ったのは、他のジャーナリスト(i瀬さん)とはあまり仲良くないらしいことがわかってちょっとびっくり。でも勝手にジャーナリスト同士が仲良しと思ってた自分がバカか。(050616)




「激突!」リチャード・マシスン

約束の商談に遅れまいと郊外の一本道を急ぐビジネスマン、デビッドが巨大なトラックを追い越すが、そのトラックに命を狙われるはめになる。

小・中学生の頃「水曜ロードショー」で何度も何度も見たテレビ映画の原作が収められた短編集。
ほんと、ひたすらでっかいトラックに追っかけられるだけの話。トラックドライバーとの会話などのやりとりが一切無いし、主人公のオロオロした考えしか描写されないので余計おっかない。今思えばスピルバーグは見事に映像化したなあ、と思う。
5編収められているうち、一番面白いのが「蒸発」という話。わけもわからないまま「わたし」のまわりの人間が消えてゆく。妻が、知っているはずの「わたし」の友人を「知らない」と言いだしたり、知り合いのマンションに電話をかけても「そんな住人は昔からいない」と言われたり。やがて・・・。
これも、追い越したトラックにひたすら追いかけられるのとはちょっと違うけれど「本当に自分の身に起きたらどうしよう」という恐怖だ。ラスト1行も「あらら!!」という終わり方。ぜひ読んでみて下さい。(050411)




「スラン」A・E・ヴァン・ヴォクト

新人類だからといって何故迫害を受けなければならないのか?未来社会、知力、体力ともに並外れた能力を持つ少年ジョミー・クロスは9歳のときに母親を人間に殺される。この時代人間は、独裁者キア・グレイ、秘密警察長官ジョン・ペティのもと、徹底的な反スラン政策がとられていたのだ。

古典的名作とされているSF。なんと1940年作!。戦争前か!!でも、どうも自分はSF「小説」はダメか、と思ってしまった。テレビとか映画ならいいのだけど。
とはいってもジョミーが倒すべきキア・グレイ、そしてジョミーと同じ純スランの少女キャスリーン・レイトンなど他の登場人物も興味深いし話もどんどこ進むのであきない。ときどき自分の頭の悪さを実感するくらい。
ラスト、「これで終わり?」と不満の人もいたけどあれはあれでいいじゃないか!と思う。文句つけるのはいかがなものか。
ちなみに「黒髪にまじる一房の金色の巻き毛」を持つジョミー。これが「純スラン」の証なのだけれど、これ、本当にカッコヨイ俳優さんがいたら絵になるだろうなあ、と思う。でもなかなかいないかな。やっぱりアニメかな。
あと、冒頭の母親との場面、絶対「銀河鉄道999」だ。(050405)



「時効を待つ女」新津きよみ

ごく普通の生活をしていながらも特別な事情を抱え込み、迫り来る「時間」に怯える女たちの短編集。

久しぶりに新津きよみさんを読んだ。どの話もドキドキ感があることと、女の人っておっかないなあ、というのも相変わらずだった。でも、最初に読んだ「緩やかな反転」のような長編もまた読んでみたい。(050307)








「柔らかな頬」桐野夏生

北海道の別荘地で5歳の女の子が行方不明となった。全く手がかりが見つからないまま時は過ぎるが、かつて親を捨て家を飛び出し東京へ出てきた過去を持つ母親のカスミはあきらめずに娘を探し続ける。

うーん、犯人はどいつだろうかとあれこれ考えながら読み進められたけれど、この終わり方・・・。へぇー、というエンディングだとは思うけど人によっては怒り出すんじゃないかとも思う。
登場人物それぞれの立場もよく書かれてるので、なおさら読み終わった後に「一体真相は・・」と、残るものあり。(050303)




「火の粉」雫井脩介

裁判官、梶間勲は的場一家殺人事件の被告人、武内真吾に無罪を言い渡す。
やがて退官した彼の前に、武内が「優しき隣人」として姿を現すが、それと同時に梶間家に「異変」が起こり始める・・・。

出だしは裁判官の視点で語られ、次にしばらくの間は妻の尋恵の日常が続くので「ははあ、この人が主人公か」と思っていたら、どうやら真相に気づき始めるのはまた違う人物みたいで・・と、少しドキドキしながら読めた。
実際に、この物語の犯人のような人物が身近にいたらおっかないなあ、と思う。ちょっと話しただけではその恐ろしさが全く気づきそうもないところがコワそう。(050218)



「四つの署名」アーサー・コナン・ドイル

父親の失踪とその後毎年送られてくる宝石の謎。ホームズとワトソンは依頼人、メアリ・モースタンとともに宝石の送り主に会いに行く。

このタイトルはホームズものの中でも代表作らしいのだけれど、ミステリとか推理ものという感じはあまりしなかった。今回は依頼人メアリ・モースタンとうまいこといくワトソンがソワソワしっぱなしという印象が強かったから。それにしてもラスト、「そんなことになるんじゃないかと思ってたよ」はヒドすぎる。彼らしいセリフだけど。

ところでミスター・スポック。当たり前すぎるから言われてないのだろうけど、どう考えてもホームズの性格そのまんまだ。今頃気づいた。指先を合わせて考えをめぐらすという描写、確かスポックもやっていたっけ。ちなみにスポック役のレナード・ニモイもホームズを演じたことがあるらしいが、ぜひ見てみたい。(050210)



「シャーロック・ホームズの冒険」アーサー・コナン・ドイル

イギリスの誇る名探偵ホームズが、突拍子も無い事件を次々に解決してゆく。

短編集なので、次から次へとホームズが鮮やかな推理で解決してゆくさまを楽しめた。が、中にはすっきりしないまま終わる事件もあったのが意外。確か「五つのオレンジの種」。何ともいえない、宙ぶらりんにされたままのような不思議な幕切れだった。
有名な「赤毛連盟」は、よくもまあ、あんな設定を思いついたものだと思うし、「技師の親指」はゾクゾクさせられっ放しだ!切断話、ヨワいんです。そういえばその昔、某書店でバイトしていたときに、間違って左手の中指のほんの一部分だけどハサミでジョキっと切っちゃって肉がべろんってなったときには倒れるかと思った。
ところで、ホームズが普段そばにいてくれたらなあ、と思うときがある。そうすれば、人に貸したり家から持ち出してないのに行方不明になってしまったままのジャパンとクイーンのCD(ジャパンは「tin drum」。クイーンは「手をとりあって」が入ってるやつ)を見つけてくれるんじゃないかと・・。
そういえばNHKでドラマ版が放映されたときのホームズは「太陽にほえろ!」のやまさんだった。 (050201)



「ジェニーの肖像」ロバート・ネイサン

売れない画家イーベンがある日の夕暮れ、公園で出会った不思議な少女は、名をジェニーといった。 イーベンの前に現れるたびに普通以上の成長ぶりをみせるジェニー。

しかし最後がどうも納得いかない、というかあんまりな終わり方だと思った。自分だったら、

イーベンが行方不明になってから数年、ある日、画商のマシウズ氏とミス・スピニー、友人のガスが出所不明の一枚の絵に驚く。
マ「こ、これは、イーベンの絵だ、彼の描いた風景画に違いない」
ミ「そうね、確かに彼のタッチだわ」
ガ「おい、見てみなよ!」
三人「・・・」
その絵には、夕暮れの公園で石けりをする少女と、彼女とのお喋りを楽しむイーベンの幸せそうな姿・・。 (050110)



「彼女たちの事情」新津きよみ

短編集。小学生のときに星新一さんの作品を初めて読んでそのオチに驚いたときのことを思い出した。あとは、女の人のおっかない部分を見てしまったような感じー。 (050110)

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